最高裁判所第二小法廷 昭和29(あ)1566 判決
主 文
原判決を破棄する。
本件を福岡高等裁判所に差し戻す。
理 由
職権をもつて調査するに、本件は第一審裁判所が各被告人に対し、本件関税法違
反の公訴事実につき、結局犯罪の証明なきものとして無罪の言渡をしたのに対し、
検察官は原裁判所に控訴の申立をなし、原裁判所は右の事実はすべて之を認める証
拠十分であるとして第一審判決を破棄して刑訴四〇〇条但書に基き各被告人に対し
有罪の判決をしたのである。
しかしながら記録によつて原審における審理の経過を検討するに、本件公訴事実
については、みづから事実の取調を行うことなく、専ら訴訟記録と第一審で取り調
べた証拠だけで第一審判決を破棄して原判示の関税法違反の犯罪事実の存在を確定
した上、被告人Aを懲役一〇月に、同B、同Cを各同六月に処し、原判示船舶及び
貨物を没収する旨の有罪の判決を言い渡したものであることはあきらかである。し
かし原審のかかる措置は、刑訴四〇〇条但書の許さないところであること、すでに
当裁判所大法廷判決(昭和二七年(あ)五八七七号、同三一年九月二六日判決、判
例集一〇巻九号一三九一頁。昭和二六年(あ)二四三六号、同三一年七月一八日判
決、判例集一〇巻七号一一四七頁)の示しているところであるから、原判決は違法
であり、この違法は判決に影響を及ぼすべく、原判決を破棄しなければ著しく正義
に反するものと認められる。
よつて、上告論旨についての判断を省略し、刑訴四一一条、四一三条本文に従い、
原判決を破棄し、本件を原裁判所に差し戻すべきものとし、裁判官全員一致の意見
で、主文のとおり判決する。
検察官 宮崎三郎公判出席
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昭和三三年五月二日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
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